揺れる湖の水面

ドラマ作品や役者さんの魅力について紹介していきます

朝ドラ「スカーレット」の覚悟

こんにちは。

今回と次回の二回は、先月半年間の放送を終えた、NHK連続テレビ小説「スカーレット」の魅力について書いていきたいと思います。

www.nhk.or.jp

 

個人的には、今までの朝ドラとは明らかに異なる、丁寧で深みのある最高の朝ドラだったと思います。見進めるほど大ファンになっていきました・・・正直、私は今まで朝ドラを初めから最後まで見続けたことは少なく、その点でも、自分を魅了する何かが、スカーレットにはあったのだろうと考えました。

 

では、今までの朝ドラと「スカーレット」は何が違ったのか??

2つ大きなポイントがあると思っています。今回の投稿では、そのうちの一つを紹介したいと思います。

 

一つ目は、ゆっくりと日々流れていく日常を、丁寧に、そしてリアルに描くことに終始焦点を当てていたことではないかと思っています。

 

朝ドラは、皆さんご存知の通り、主人公の人生を描いていく作品です。小さい頃から、思春期を経て、大人へと成長し、結婚や出産、子育て、親の死、子供の成長・・・まさに主人公の人生に寄り添い、共に生きていく。それが朝ドラです。

 

主人公の一生を、人生を描いていく。この点では今までの朝ドラもスカーレットも同じです。

ただし、明らかに異なっている点がありました。それは、「人生の転換点の描き方」です。

 

入学や卒業、進学や就職、結婚や出産。誰の人生にも多くの転換点、ターニングポイントがあります。朝ドラといえば、やはりこういった「転換点」は大イベントであり、今までの朝ドラ作品ではかなりの枠を使って描かれてきました。

 

しかし、スカーレットでは、主人公「喜美子」のこうした転換点は、(語弊を招かないように言うと、「転換点そのもの」は、)驚くほどにあっさりと描かれているのです。喜美子は気づけば出産していて、気づけば、子供の武志は成長していました。

 

そこで気づかされました。「スカーレット」は何よりも日常を大切にした物語なのだと。それも陶芸家・「川原喜美子」の日常なのだと。

脚本の水橋先生が何よりも描きたかったのは、「人生の転換点」ではなく、そういった転換点すらも直線の一点に含めてしまう毎日の日常だったのではないでしょうか。

 

例えば、

「父の死」とゆっくりと向き合おうとする喜美子や家族の日々。

ゆっくりとすれ違っていく夫婦の関係性。

 

確かに、人生を振り返った時に走馬灯のように蘇るのは転換点かもしれない。

けれども、生きている、生きていく中で何よりも大切でかけがえのないものは、毎日の日常。

 

「転換点」をくっきりと描く従来の朝ドラに比べると、日常にフォーカスした「スカーレット」は、どこか単調で、地味だと言う批判もあったのかもしれません。

 

そう言う批判や受け取られ方も覚悟の上で、「スカーレット」は喜美子の人生を、毎日の日常を丁寧に描いてきました。そんな「覚悟」を背負って、そして丁寧に喜美子の人生を描き出して下さった脚本の水橋先生、制作の皆さん、役者の皆さんに、心からの拍手と感謝の気持ちで止みません。

 

「いつもと変わらない一日は特別な一日

作品終盤で武志が書いた言葉です。

 

「今日があなたの一日なら、どんな一日にしますか?」

大切な周りの人に思いを馳せながら生きていく陶芸家としての毎日の自分の日常。

 

「スカーレット」の芯がありながらも温かいリアルな世界。毎日の日常、日々ゆっくりと変化していく気持ちや関係性。日常にここまでフォーカスしなければ描き出せない世界がそこにはあります。今までと違う朝ドラ「スカーレット」、たくさんの人にこの世界を知ってもらいたい。そう願うばかりです。

 

明日は、「登場人物のキャラクターの人間味」から、「スカーレット」と今までの朝ドラの違い、そして魅力を紹介していきたいと思います!